八卦とは

天、沢、火、雷、風、水、山、地

この八つの要素が、自然と人生を支配するもとだと、古代の中国人は考えました。そして、この八つの要素に、しばらくしてから、つぎの文字があてられました。

天 = 乾(けん)
沢 = 兌(だ)
火 = 離(り)
雷 = 震(しん)
風 = 巽(そん)
水 = 坎(かん)
山 = 艮(ごん)
地 = 坤(こん)

つぎに、それぞれの八つの要素に形が象徴として与えられました。それには 陽 陰 とが記号として使われ、この八つの要素は、それぞれ、つぎのように「象」と呼ばれる形が決められました。

乾 … 天 = 乾
兌 … 沢 = 兌
離 … 火 = 離
震 … 雷 = 震
巽 … 風 = 巽
坎 … 水 = 坎
艮 … 山 = 艮
坤 … 地 = 坤

このようにして自然は八つの象に分けられました。これを易学では小成八卦(しょうせいはっか)といいます。この八卦は、次の六十四卦を構成する基礎となるもので、易の基本中の基本といっていいものです。八卦が理解できて、はじめて六十四の卦の意味が読みとれます。その意味でこれだけはきちんと頭の中に入れておく必要があります。

八卦の象が何を指すかについては、説卦伝に出ています。「昔、聖人が易を作るにあたり、人の性と天命の理にしたがって、天の道を立てて陰と陽、地の道を立てて柔と剛、人の道を立てて仁と義と呼んだ。このように天地人の三才を備え、それぞれが二つの徳をもつ」とあります。そのあとに天と地、山と沢、雷と風、水と火の自然現象とその相互作用を説明しています。さらに、八卦のあらわす属性、人間、人体、方位、動物など百三十にわたり述べています。八卦は具体的な物を指していうわけでなく、シンボルをいうので、それから類推して実際の事物にあてはめるのです。

八卦の意味する主なものを挙げると、八卦一覧表のようになります。まず最も大切なのは自然現象をあらわした正象で、天・沢・火・雷・風・水・山・地の八種となりますが、この自然現象から始まって、それぞれの性状はますます複雑多岐にわたります。

八卦の象は、家族の人間関係にも適用されます。また人間の体の部分の配当にもなり、方位から家畜を含む鳥獣にも該当します。最初に天地のような自然を定め、それを中心にして他のものが次々に制定されていきました。

この八卦の象の中には、具体的なものと違って、八卦一覧表の上から四番目の欄に「卦徳」と呼ばれる特殊な八つの性状が入っています。卦徳は、卦(本体)のはたらきを示すものとして、自然などの卦象とは区別して考えなくてはなりなりません。実際の易占には、この八つの性状がきわめて重要な手がかりを提供してくれます。

八卦一覧表

八卦 乾 兌 離 震 巽 坎 艮 坤
卦名
正象
卦徳
人間 少女 中女 長男 長女 中男 少男
動物
身体
方位 西北 西 東南 東北 西南
季節 10月11日 9月 6月 3月 4月5日 12月 1月2日 7月8日
白色
金色
白色
金色
赤色
紫色
青色 青色 黒色
赤色
黄色 黒色
黄色
九星 六白 七赤 九紫 三碧 四緑 一白 八白 二黒
五行
五行の数 四と九 四と九 二と七 三と八 三と八 一と六 五と十 五と十
易数 1 2 3 4 5 6 7 8

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