『易』の文字

『易』という字はどこから生まれたのでしょう。これには、三つの説があります。

日月説

第一の説は、「日月説」で、「日」に「月」を組み合わせたものだという説です。易占いは陽と陰との組み合わせから、あらゆる現象を説明しようとする一つの体系です。昼の陽をあらわす太陽、夜の陰をあらわす月、この二つの象徴から一つの文字をつくりあげたと考えられます。

トカゲ説

第二の説は、「トカゲ説」で、トカゲの象徴だという説です。トカゲを象形文字にしたら「易」になったというのです。「日」がトカゲの頭部で、「勿」が手足です。トカゲはカメレオンのように一日に十二回も体の色が変化するので、「易」という字にも「変わる」という意味があります。『易』は、世の中の変化してやまない現象を見る書物なのですから、この見方もうなずけます。ちなみに英語では、『易経』を"Book of changes"(「変化」の書)と訳しています。

観測説

第三の説は「観測説」です。「日」をあおいで、「なになにする勿れ」ということから、「日」と「勿」との組み合わせといわれています。つまり、人間が朝、空をあおいで、天気の模様から、その日の行動を判断、決断するというところから生じた文字というのです。

この三つの説は、どれでもかまいませんが、「易」という文字は、また、「やすい」とも読まれます。それは人生の行路が、安らかであるように、また危険を避けて暮らしやすいように、という人間の念願をあらわしているのでしょう。

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